患者さんとの別れが教えてくれた“支える仕事”の重み

~リハ職として過ごした時間の先にあるもの~

理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)として日々患者さんと向き合う中で、避けて通れない瞬間があります。
それが、“別れ”の瞬間です。

退院・転院・サービス終了——
あるいは看取りの場面も含め、「支援が終わる瞬間」にこそ、リハビリという仕事の意味が凝縮されていると気づかされることがあります。

この記事では、リハ職が経験する“別れ”を通じて見えてきた、支える仕事としての本質と、その重みについて考えます。


◆ 別れの言葉が、心に深く残る理由

「またどこかで先生に会えたらうれしいな」
「ここまで来れたのは、あなたのおかげ」

支援の成果は数値だけで測れるものではありません。
別れ際に聞く何気ない一言には、患者さんと過ごした日々の“答え”が込められていることがあります。

その言葉は、時に自分の存在価値を再確認させてくれます。


◆ “あの人はもういない”という現実と向き合う

「昨日まで一緒にリハビリをしていた人が、急変で亡くなった」
「最期の時間に、自分がそばにいてよかったのか、いまだに考えてしまう」

看取りの現場や、突然の別れは、理屈では割り切れない重さを私たちに残します。

でも、その人の人生の“終わりの一部”に関わることができた経験は、
自分の仕事の意味を静かに問い直す機会にもなります。


◆ リハビリは「希望の伴走」だったと気づかされた

「最初は“この人がどこまで回復するか”だけを見ていた。
でも、別れのときに“また前向いて生きてみるよ”って言われて、
“私はこの人の“回復”だけじゃなく“再スタート”を支えてたんだ”って気づいた。」

私たちは、身体機能の回復だけでなく、
その人の人生の“次の一歩”を一緒に支える仕事をしている。
それは、別れ際にこそ見えてくるリハビリ職の本質です。


◆ 別れは、決して“終わり”ではない

支援が終わっても、関わった時間は消えません。
言葉・表情・できるようになったこと——それらすべてが、
その人の人生の一部として、確かに残っていきます。

そして、私たちの中にも、その人との記憶が“財産”として残っていきます。


◆ まとめ:「支える」ということは、「残る」ということ

患者さんとの別れは、寂しくて、つらくて、答えのないものかもしれません。
でも、その中にこそ、リハビリという仕事の価値が凝縮されています。

  • 「ありがとう」の言葉
  • 笑顔での握手
  • そっと置かれた手紙
  • 最後に聞いた“その人らしい”ひとこと

それらはすべて、リハ職が歩んできた“支える時間”の証です。

だから私たちは、別れのたびに泣いて、立ち止まって、
それでもまた次の人の“人生の一部”を支えにいくのです。