~PT・OT・STに求められる“これからの視点”とは?~
少子高齢化が進み、医療・福祉の人手不足が社会課題となるなか、
リハビリテーションの現場にも今、テクノロジーの波が押し寄せています。
AI・ロボット・VR・ウェアラブル端末・デジタルツイン・オンラインリハビリ――
これまで“人の手”に支えられてきたリハビリが、「人+技術」で進化する時代に入っています。
この記事では、テクノロジーがリハ職の仕事をどう変えるのか、そしてどんな可能性が広がっているのかを、現場視点でわかりやすく解説します。
◆ 注目の「リハビリテクノロジー」例とその活用シーン
① リハビリ支援ロボット(HAL、ウェルウォークなど)
- 筋電位や体重移動を感知し、麻痺側の動きをアシスト
- 脳卒中後の歩行訓練や、難病患者への運動支援に活用
👉 PTの指導力×ロボットの物理的サポートで、早期の動作獲得が可能に
② VRリハビリ・デジタル認知訓練
- バーチャル空間でゲーム感覚の訓練を提供
- 高齢者の認知予防、失語・注意障害などに対応
👉 OTやSTが**“作業の質”や“課題設定”を設計**することで効果が最大化
③ ウェアラブルデバイス(歩数計、心拍計、筋電計など)
- 利用者の動きや生体情報をリアルタイムで可視化
- 生活期・在宅リハでの客観的評価やリスク管理に役立つ
👉 記録に頼らず**「数値でみる日常生活能力」**という新しい視点が得られる
④ 遠隔リハビリ(オンライン指導)
- タブレットやスマホを通じて、自宅で訓練や指導が可能
- 通所困難な高齢者、感染症対策、地方格差の解消に期待
👉 STやPTが指導だけでなく、モニタリング・家族支援にも関与
◆ リハ職が果たす「テクノロジー活用」の新しい役割
テクノロジーは便利な“道具”ですが、使いこなすのは人間です。
これからのリハ職には、以下のような**“橋渡し”の力**が求められます。
必要な役割 | 内容 |
---|---|
評価の翻訳者 | センサーやロボットが出した数値を、臨床にどう活かすか考察する力 |
訓練デザインの専門家 | AI・VRに頼りきらず、個別性ある訓練設定を行う |
対人支援のプロ | 技術だけでは補えない「気づき・励まし・共感」を担う |
✔ 技術で“効率化”し、時間を“寄り添い”に使える未来へ
✔ 「データ+人間力」で、リハ職の価値はむしろ高まる
◆ テクノロジーに強いセラピストが選ばれる時代へ
▶ 求められるスキル:
- ICTリテラシー(タブレット・オンラインツールの活用)
- データを読み取り、意味づけできる力(=臨床推論力+分析力)
- テクノロジー導入時の現場調整・説明力(家族・多職種との橋渡し)
▶ こんな取り組みがキャリアに直結:
- eラーニング・ウェビナー参加
- ロボティクスや福祉工学の知識習得
- デジタル機器の導入提案・評価に関わる経験
◆ まとめ:テクノロジーは、リハ職の“可能性”を広げる存在
リハビリ×テクノロジーの進化は、
決してセラピストを“代替する”ためのものではありません。
それはむしろ、「人にしかできない支援に集中できる環境をつくる」ためのツールです。
✔ 技術の進化に適応し、活かす力を持ったセラピストは、10年後の現場をリードする存在に
✔ “人と技術の間に立つ力”が、これからのリハ職の新たな専門性になる