近年、理学療法士(PT)の活躍の場は病院や施設にとどまらず、「訪問リハビリ」へのニーズも高まっています。
高齢化社会の進行により、自宅でのリハビリを必要とする人が増える中で、訪問リハは非常に重要な役割を担っています。
しかし、病院や老健施設とは異なる点も多く、転職前に知っておくべきポイントがいくつかあります。
ここでは、訪問リハへ転職を検討しているPTの方に向けて、事前に知っておきたい基礎知識と注意点をまとめました。
1. 1対1のリハビリで「人間力」が問われる
訪問リハは基本的に利用者とのマンツーマンで行います。
リハビリ技術だけでなく、「信頼関係の構築」や「コミュニケーション能力」が重要になります。
病院では他職種のフォローが受けられる環境ですが、訪問リハでは理学療法士が現場の主役になることも多く、柔軟な対応力が求められます。
2. 移動時間・エリアの確認は必須
訪問リハは患者の自宅に直接訪問するため、移動が業務の一部になります。
電動自転車・バイク・社用車の使用が一般的ですが、訪問エリアの広さや移動距離・時間によっては体力的にもハードになることも。
また、雨の日や真夏・真冬の移動も発生するため、天候による業務への影響も事前にイメージしておくと良いでしょう。
3. 自立度・医療依存度の高い利用者も
訪問リハの対象者は要支援〜要介護までさまざま。中には、褥瘡(じょくそう)予防や呼吸リハ、終末期のケアが必要なケースもあります。
病院よりも医師や看護師のサポートがすぐに得られない場面もあるため、リスク管理能力や観察眼がより求められます。
4. 記録や書類業務の多さに注意
訪問リハは1件あたりの滞在時間が短くても、毎回の記録や報告書、計画書の作成が必要です。
事業所によっては、iPadなどを使って入力を効率化しているケースもありますが、書類業務が苦手な方は注意が必要です。
5. 給与体系やインセンティブ制度を確認
訪問リハでは、「1件あたりの報酬制」や「訪問件数によるインセンティブ制度」を導入している事業所も多くあります。
そのため、件数が少ないと収入が安定しない場合もあります。
固定給か歩合制か、最低保証があるかどうかなど、報酬体系は転職前に必ず確認しましょう。
まとめ
訪問リハビリは、地域で暮らす利用者の「生活」を支える非常にやりがいのある仕事です。
しかし、病院勤務とは異なる面も多く、自分のライフスタイルや価値観に合っているかをしっかり見極めることが大切です。
転職を検討する際は、実際の業務内容・訪問範囲・給与体系・教育体制などを事前にしっかり確認し、ミスマッチのない職場選びを心がけましょう。